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軟弱地盤とは?特徴・見分け方・対策を解説

軟弱地盤とは、建物の荷重に対して十分な支持力を持たない地盤のことです。 日本の平野部、特に河川の下流域や沿岸部に広く分布しており、 住宅建築では地盤改良が必要になるケースが多くなります。

軟弱地盤の定義

建築基準法や地盤工学では、軟弱地盤に厳密な定義はありませんが、 一般的にはN値が5以下の粘性土層や、N値10以下の砂質土層が 一定の厚さで堆積している地盤を指します。

住宅の地盤調査で用いられるSWS試験では、 自沈層(荷重だけでロッドが沈む層)が存在する場合や、 換算N値が3未満の層が連続する場合に軟弱地盤と判定されることが一般的です。

軟弱地盤の形成過程

軟弱地盤は、数千年〜数万年かけて形成されます。 主な形成過程を理解することで、軟弱地盤が存在しやすい場所を予測できます。

沖積層(ちゅうせきそう)

約1万年前以降に河川の氾濫や海面変動によって堆積した地層です。 粘土・シルト・砂が混在し、まだ十分に締め固まっていないため軟弱です。 日本の平野部の大半は沖積層で構成されています。

旧河道・旧湖沼

かつて川や湖だった場所は、流路の変化や埋め立てによって陸地化していますが、 地下には軟弱な堆積物が残っています。特に有機質土(腐植土)を含む場合は 極めて軟弱です。

埋立地・干拓地

海や湿地を人工的に埋め立てた土地は、埋立材の締め固めが不十分な場合や、 元の海底面の軟弱な堆積物がそのまま残っている場合があり、 不同沈下や液状化のリスクが高くなります。

日本の軟弱地盤の分布

日本は国土の約25%が沖積平野であり、人口の多くがこの軟弱地盤上に暮らしています。 特に以下の地域は軟弱地盤が広がっていることで知られています。

関東平野

東京下町低地、荒川・利根川流域、千葉県浦安市・市川市(埋立地含む)

濃尾平野

名古屋市西部、愛知県海部郡、三重県桑名市周辺の木曽三川流域

大阪平野

大阪市内の旧淀川流域、西淀川区・此花区・港区など臨海部

筑紫平野

福岡県・佐賀県にまたがる有明海沿岸、軟弱な有明粘土が分布

石狩平野

北海道札幌市周辺、泥炭地が広がり極めて軟弱な地盤が多い

軟弱地盤の見分け方(旧地名から読み解く)

土地の旧地名には、かつてのその場所の地形や水辺との関係が反映されていることがあります。 以下のような漢字が含まれる地名は、軟弱地盤の可能性を示唆します。

地名に含まれる漢字示唆する地形
沼・池・潟・浦水辺・湿地沼袋、池袋、新潟、浦安
谷・窪・久保低地・窪地渋谷、荻窪、大久保
洲・島・田河川堆積・水田中洲、中島、梅田
蛇・龍・竜蛇行する川の流域蛇崩、龍泉寺
橋・津・港水運・港湾日本橋、大津、天神橋

※ 旧地名は目安であり、すべてが軟弱地盤であるとは限りません。 最終的には地盤調査で確認する必要があります。

地形図・ハザードマップで確認する

国土地理院の「地理院地図」では、土地の標高や地形分類を確認できます。 「自然地形」レイヤーを表示すると、氾濫平野・後背湿地・旧河道・三角州といった 軟弱地盤になりやすい地形を視覚的に把握できます。

また、各自治体が公開している液状化ハザードマップも有効です。 液状化リスクが高い地域は、軟弱な砂質地盤が分布している可能性が高く、 不同沈下のリスクとも相関があります。

軟弱地盤の対策工法

軟弱地盤に住宅を建てる場合、地盤改良工事が必要です。 軟弱層の深度に応じて適切な工法を選択します。

表層改良工法

軟弱層が2m以内の場合に適用。地表から1〜2mの土をセメント系固化材と混合して固めます。 施工が簡易で費用も比較的安価です。

適用深度

〜2m

費用目安

30〜50万円

柱状改良工法

軟弱層が2〜8mの場合に適用。セメントミルクを注入しながら地盤を撹拌し、 直径60cm程度の円柱状の改良体を20〜30本程度造成します。

適用深度

2〜8m

費用目安

50〜100万円

鋼管杭工法

軟弱層が8m以深まで続く場合に適用。小口径の鋼管杭を硬い支持層まで打ち込み、 建物荷重を支持層に伝達します。深い軟弱地盤にも対応できますが費用は高くなります。

適用深度

〜30m

費用目安

100〜200万円

軟弱地盤と液状化の関係

軟弱地盤のうち、地下水位が高く、緩い砂質土で構成されている地盤は 地震時に液状化する危険性があります。液状化が発生すると、 地盤が液体のように振る舞い、建物が傾いたり沈んだりします。

2011年の東日本大震災では、千葉県浦安市を中心に広範囲で液状化が発生し、 多くの住宅が不同沈下の被害を受けました。軟弱地盤に家を建てる際は、 通常の地盤改良に加えて液状化対策も検討する必要があります。

軟弱地盤=建てられない、ではない

軟弱地盤だからといって住宅が建てられないわけではありません。 適切な地盤改良を施せば、安全に暮らすことができます。 重要なのは、地盤の状態を正確に把握し、適切な対策を講じることです。

ただし、地盤改良費用(30〜200万円)は土地代に上乗せされるコストです。 土地購入前に地盤リスクを把握し、総額で予算計画を立てることが大切です。

まとめ

軟弱地盤は日本の平野部に広く分布しており、住宅建築では避けて通れない問題です。 旧地名や地形図で事前にリスクを推測し、購入前に近傍のボーリングデータを確認することで、 想定外の地盤改良費用を回避できます。 当サイトの無料診断ツールで、気になる土地の地盤リスクをチェックしてみましょう。

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